本と楽しむ

『ルーズヴェルト・ゲーム』に学ぶ、人生という名の「通過点」

小説『ノーサイド・ゲーム』を読み終えたときに、そのあとがきに記されていた『ルーズヴェルト・ゲーム』との比較解説に目が留まりました。

「一体どんな物語なのだろう?」と思っていた矢先、タイミングよくTVerでのドラマ配信がスタート。2014年の作品ですが、ビジネスドラマとしての熱量に圧倒され、ドラマを追いかけながら原作の文庫本も読み進めた。

廃部の危機に立つ野球部と、会社の存亡

物語の舞台は、中堅電子部品メーカー青島製作所。
金融不況の荒波に揉まれ、ライバル企業であるミツワ電器からの執拗な攻勢、もはや嫌がらせとも言える経営統合の圧力を受け、倒産寸前の危機に立たされた。

必死の企業努力で再建を目指すなか、議論の的の一つになるのが「野球部」の存在です。
経営再建のためには、コストのかかる野球部は廃部にするしかないのか。
企業スポーツの意義とは何なのか。
そんな重厚なテーマが突きつけられます。

「人生に無駄な経験なんかない」という真実

特に私の心に深く刻まれたのは、肘を壊して引退を決意した萬田という選手が、大道監督に退部届を提出したシーンです。

黙考の後、大道監督が放った言葉に、思わず涙がこぼれそうになりました。

「(中略)野球をやめたことを終点にするな、通過点にしろ。いままでの経験は、必ずこれから先の人生でも生きてくる。人生に無駄な経験なんかない。そう信じて生きていけ」

この言葉は、萬田だけでなく、私の心にも突き刺さりました。

「折り返し地点」なんてない、人生は一本の直線だ

私はこれまで、自分の年齢を考えて「人生の折り返し地点を過ぎた」と思い込んでいました。
しかし、この物語に触れて気づかされた。

人生に折り返しなんてない。人生は一本の道であり、すべては「通過点」なのだと。

これまで歩んできた道のり、苦労したこと、挫折したこと。
そのすべてが現在、そして未来の自分へと繋がっている。
無駄な経験など、何ひとつありません。

それならば、自分がこれまでどんな足跡を刻み、どんな生き方をしてきたのか。
そしてその経験が、今の自分にどう結びついているのか。
それを整理し、発信していくことこそが、今の私にとって大事なこと。

おまけ:池井戸ユニバースの繋がり

余談ですが、あとがきの解説によると、あの『下町ロケット』で重要な役割を果たした企業が、本作にもちらりと登場しているそうです。

そう言えばってうる覚えなので、次は『下町ロケット』を再読して、そのリンクを探してみたい。こうした遊び心も、池井戸さんの作品を読む楽しみの一つ。

皆さんも、今いる場所を「終点」だと思わずに、輝く未来への「通過点」として歩んでいきませんか。